アオくんのもとに、一通の 手紙が とどきました。
「高知県とおいなあー。でも、どんな ところかなあ。いってみよー!」
電車に のって、新幹線に のって、汽車に のって やっと 須崎につきました。 すると 一匹の カニを みつけました。
あとを おいかけていくと 海につきました。 まるい石、恐竜のかたちの石、宝石みたいな石・・・ 夢中になって たくさん あつめました。
しばらくすると、カニは ながい 階段を のぼりはじめました。
アオくんも カニに つづいて、階段を のぼります。 のぼっても のぼっても まだ 階段。 石は おもいし、足はいたいし、アオくんは いまにもなきだしそうです。
カニ太は 階段の うえに 城山公園が あること、桜が きれいに さくこと、昔は すべりだいやブランコがあったこと、こどもは 遠足に、 おとなは お花見をしによくきていたことを おしえてくれました。
そして、城山公園は つなみが きたときに 人の命をまもるための場所 (津波避難場所)であるということも。
山のてっぺんにつくと、そこからは 須崎のまちを ぐるっとみわたすことが できました。
アオ:「そらが ちかい、やまのみどりが きれい、うみが きらきら ひかっている、ふねもみえるよ。須崎は しぜんいっぱいの うつくしい まちなんだね!」
おなかが すいた2人は、おにぎりを はんぶんこしてたべました。 おにぎりを たべながらアオくんは こんなことをおもいました。
もし、この石が 妹だったら、おかあさんは こんなに おもいものを せおって 階段を のぼらなくちゃいけないのか。
たいへんだなあ・・・。
そうだ! みんなが 城山公園にくる れんしゅうを すればいいんだ。
でも、れんしゅうじゃあつまらない。 ピクニックにいったいり、すきな本をもってきて よんだり、お花見をしたり、 たのしいことに たくさんつかえば いいんだ。
カニ太、すてきな ところに つれてきてくれて ありがとう。 ここで たべる おにぎりは とっても おいしかったよ。
そして こんどは、カニ太がアオくんの うまれた まちに 冒険に でかけて いきました。
2018年9月、城山公園に家族で初めてのぼりました。汗をかきながら、息をきらしながら。山頂からみる須崎の自然の美しさが、今でも忘れられません。それと同時に、もし私が実際に津波で避難しなくてはいけなくなった時、こどもたちや避難道具を抱えてのぼれるのだろうか?と、不安になりました。
また、このお話にカニが登場するのは、宿泊した家の近くで、息子が沢蟹をみつけたことがきっかけとなっています。息子は、初めてみた沢蟹をとても喜び、捕まえて石川県までつれてかえりました。
これらの体験を元に描いたのが、この絵本です。
最後になりましたが、須崎の未来を願いこの素敵な白い小屋を仕上げて下さったたくさんの方々に、感謝いたします。
モンデンエミコ